『ヴァス・シュティッヒ』はこんなゲーム
ヴァス・シュティッヒは、課題チップと呼ばれるゲームの目標を達成するために、自身の手札選びから行うトリックテイキングです。
プレイヤーの中から1人「ディーラー」を選びます。
そのディーラーだけは、このラウンドにおける「切札の色」と「切札の数字」を知っています。
確認した後全カードからルールに従って各プレイヤーは手札を選び、 全員の手札が決まったら今回の「切札の色」と「切札の数字」が公開されます。
その後ディーラーを除いた各プレイヤーは、自分がこのラウンドでクリアしたい課題チップを提示します。
課題のクリアを目指してトリックテイキングを行っていくのをくり返し、 誰かが規定数の課題をクリア出来たらゲームは終了し、そのプレイヤーはゲームに勝利します。
トリックテイキングの用語に関しては、こちらで少し解説していますので、参考にしてみてください。
ゲーム名 | ヴァス・シュティッヒ |
メーカー | ニューゲームズオーダー |
ゲームデザイナー | Karl-Heinz Schmiel(カール-ハインツ・シュミール) |
人数 | 3~4人 |
時間 | 60分 |
年齢 | 12才~ |
価格 | 1,800円(税込) |
👉 このゲームも紹介している、【初心者におすすめのボードゲーム20個】を紹介している記事はこちら。
☆こんな人におすすめ!
・トリックテイキングに慣れた方
ある程度トリックテイキングの経験がないと、難しく感じると思います。
・複雑なゲームにチャレンジしてみたい方
相手の意図を読んだり上手く課題をクリアするのは、悩ましくおもしろいですよ。
・変わったゲームを遊んでみたい方
トリックテイキングを行う前に手札を作るというかなり変わったゲームです。
ショート・ゲームとフル・ゲーム
このゲームには、ショート・ゲームとフル・ゲームがあります。
ショート・ゲーム(約60分) | 誰かが4つの課題をクリアする、もしくは全員がディーラーを2回担当したら ゲームは終了します。 また、課題のクリア状況に差ができて残りのラウンド数から1位が確定した場合、 途中でゲームを終了しても構いません。 |
フル・ゲーム (90~120分) | 誰かが5つの課題をクリアすれば、ゲームは終了します。 複数人いた場合、クリアした課題チップの隅に書いてある数字を合計し、 その値が大きいプレイヤーが勝利します。 それも同じ場合、勝利を分かち合います。 2位以下はクリアした課題チップの数ではなく、その値の合計値で順位を決めます。 |
『ヴァス・シュティッヒ』の準備
適当な方法でディーラーを決めます。
数字カードは、赤・青・緑・黄色の4色で1~9まで1枚ずつの36枚あります。
このカードを裏向きにしてよく混ぜ、脇においておきます。
課題チップを全て公開し、ディーラーから時計回りに1枚ずつ選んで取っていきます。
これを5周行い、余ったチップは箱にしまいます。
ショート・ゲームでは、同じ内容の課題チップを複数取ってはいけません。
ただし、重複するチップしか残っていない場合、その中から選んで取ります。
課題チップ
課題チップは全部で24枚あります。 課題チップの種類は次の通りです。
・1枚も取らない(3枚) このラウンド中、1トリックも取ってはいけません。 | |
・[色名]を取らずに1トリック以上(各色1枚) このラウンド中、「切札の色に関わらず」指定された色のカード(その色が切札でも)を 1枚も取ってはいけません。 ただし、最低でも1トリックは取らなければいけません。 色ごとに異なるチップとみなします。 | |
・ちょうど[1/2/3/4]トリック(各2枚) 各ラウンド9回行われるトリックのうち、指定された数と同じだけトリックを取らなければいけません。 数字ごとに異なるチップとみなします。 | |
・最終トリックを取る(3枚) ラウンドの終了する9回目のトリックを取らなければいけません。 それ以外のトリックをどれだけとるかは、関係ありません。 | |
・単独最多トリック(3枚) 獲得したトリックが単独で最多でなければいけません。 | |
・単独最少トリック(3枚) 獲得したトリックが単独で最少でなければいけません。 1トリックも取らなくても構いません。 ※「最低でも1トリックは取らなければいけない」という内容に変更しても構いません。 3人ゲームでは、こちらが推奨されています。 |
切札カードと強弱の順位
各ラウンドごとに決まる、「色切札」と「数字切札」を示すカードです。
「切札」とは、トリックにおいて最も強い色や数字のことを言います。
後述する①カード選択の時点で、ディーラーだけが最初に確認し、 トリックテイキング開始時には全員に公開されます。
また、このゲームは「マストフォロー」なので、親の出した色と同じカードを持っていれば、必ず出さないといけません。
持っていない場合、好きなカードを出すことができます。
- 色切札
赤・青・緑・黄色・色切札なしの計5枚 - 数字切札
1~9・数字切札なしの計10枚
強弱は次のような条件で決まります。
- 色切札よりも数字切札の方が強い切札
- 色切札と同じ数字切札が最も強く、その他の数字は 先に出た方が強いものとする
- 同じ色であれば、数字の大きい方が強いものとする
例を用いて説明します。
1. 色切札と数字切札が決まっている場合 例:色切札が赤、数字切札が5 | 5>5=5=5(先出し優位)>9>8>7>6>4>3>2>1 |
2. 色切札なしで数字切札が決まっている場合 例:色切札なし、数字切札が5 | 5=5=5=5(先出し優位) |
3. 色切札が決まっていて数字切札なしの場合 例:色切札が赤、数字切札なし | 9>8>7>6>5>4>3>2>1 |
トリックの勝敗に関しては、③トリックテイキングで解説します。
『ヴァス・シュティッヒ』のルール
ここからは、ヴァス・シュティッヒのルールを紹介していきます。
① カード選択
ディーラーは「色切札」と「数字切札」のカードをそれぞれ裏向きでよく混ぜ、 自分だけその山札の一番下のカードを確認します。
確認した切札カードは、ディーラーの手元に裏向きでおいておきます。
次にディーラーは、36枚のカードを表向きで4段9列に全て並べます。
その後、以下の手順でカードを受け取っていきます。
- ①スタートプレイヤー
ディーラーの左隣のプレイヤーがスタートプレイヤーとなり、スタートプレイヤーカードを受け取ります。
スタートプレイヤーは、一番左の列の4枚のカードの中から1枚受け取ります。
受け取ったカードは、表向きのまま手元においておきます。 - ②それ以降のプレイヤー
時計回りで次のプレイヤーも同様に、一番左の列で残っているカードの中から1枚受け取り、全プレイヤーが1枚ずつ受け取るまでくり返します。
- ③ディーラーからのヒント
ディーラーは、今各自が受け取ったカードをスタートプレイヤーから順にプレイした場合、 誰がトリックの勝者になるかを発表します。
これにより、ディーラーしか知らない「このトリックの切札の情報」が得られます。※3人プレイの場合、残ったカードをダミープレイヤーが受け取った物として、誰が勝者になったかを確認した後、次のラウンドまで脇によけておきます。
- ④手札にする
切札の情報を確認した後、各プレイヤーは今受け取ったカードを手札として、他プレイヤーに見られないようにします。
- ⑤スタートプレイヤーカードの移動
スタートプレイヤーカードを時計回りで次のプレイヤーに渡します。
- ⑥次のカードを選ぶ
新たなスタートプレイヤーから①と同様にカードを受け取っていく行為をくり返していきます。
- ⑦切札の発表
9枚目のカードを受け取りまでくり返したら、ディーラーは今回のラウンドの切札を公開します。
スタートプレイヤーカードは、次のラウンドまで脇によけておきます。
② 課題選択
ディーラー以外のプレイヤーは、自分の課題チップのうち今回のラウンドでクリアしたいものを1枚選び、全員が選び終わったら一斉に公開します。
課題がクリアできた場合、その課題チップを裏向きにします。
選ばなかったチップは、選んだチップと区別がつくようにして脇によけておきます。
ディーラーは課題を選びません。
ディーラー以外のプレイヤーが選んだ課題のどれでもいいのでクリアできるようにプレイします。
誰の課題かを決めておく必要はありません。
ディーラーは、誰かの課題がクリアできた場合、自分の課題チップから好きなチップを裏向きにします。
ただし、そのチップを出したプレイヤーがクリアしていた場合、ディーラーはチップを裏向きにできません。
③ トリックテイキング
受け取ったカードを使って、トリックテイキングを行います。
以下の条件に従ってプレイします。
- 最初のトリックは、ディーラーの左隣のプレイヤーから開始する
- それ以降は時計回りでカードをプレイしていく
- 最初に出された色と同じ色のカードを持っている場合、以降のプレイヤーはその色のカードを出さなければいけない
- 1人目が切札のカードを出した場合、以降のプレイヤーは切札のカードを出さなければいけない
色切札か数字切札かは関係ない - 1人目の出したカードと同じ色のカードを持っていない場合、好きなカードを出せる
勝敗の判定は以下の通りです。
- 切札が1枚も出ていない場合
1人目と同じ色で最も数字が大きいカードが勝ち - 切札が出ていた場合
その切札の中で最も強い切札が勝ち
切札の強弱に関しては、「切札カードと強弱の順位」で解説しています。
トリックの勝者は、出されたカードを全て獲得し、 ひとまとめにして自分の前におきます。
獲得したカードは、そのトリックごとに区別しておきます。 勝者から次のトリックを始めます。
④ ラウンド終了
9回のトリックが終了したら、ディーラー以外のプレイヤーは、 出した課題がクリアしているかを確認します。
- クリアしている場合
裏向きにして手元に戻す - クリアしていない場合
表向きにして手元に戻す
以降、この課題を選んでも良い
ディーラーは、出された課題を確認して1つでもクリアしていた場合、 自分のクリアしていない課題チップ1枚を、裏向きにして手元におくことができます。
ただし、そのチップを出したプレイヤーがクリアしていた場合、ディーラーはチップを裏向きにできません。
次のラウンドのディーラーは、今のラウンドのディーラーの左隣のプレイヤーです。
そのディーラーの左隣のプレイヤーは、スタートプレイヤーカードを受け取ります。
① カード選択に戻り、プレイを続けます。
ゲームの終了
「ショート・ゲームとフル・ゲーム」で解説したように、それぞれの規定枚数の課題がクリアになった場合、ゲームは終了して勝者が決まります。
『ヴァス・シュティッヒ』の感想
・ずっと頭をフル回転
課題チップを選ぶところから、手札選び、トリックテイキングの実践まで、ずっと考えっぱなしです。
カードゲームなのに、重厚なプレイ感と成功した時の達成感はすごいですよ。
・きっちりとした計画
トリックテイキングもまた、手札運がでてしまいがちです。
ですが、自分で手札を構築するのでその点はある程度解消しています。
自分で組んだ手札で対戦する、デッキ構築のような感覚もおもしろいですね。
・トリックテイキングに慣れていることが前提
手札の出し方や勝ち負けの判定を間違うと、トリックテイキングというゲームは破綻してしまいます。
ゲーム前に切札を選んでどれが強いかの確認をするなど、トリックテイキングを理解してからのプレイが望ましいです。
最後に
今回は、『ヴァス・シュティッヒ』をご紹介しました。初心者向けのゲームを紹介している当ブログですが、正直初心者向けではありません。
ですが、今まで紹介してきたトリックテイキングなどをプレイした方には、さらなるステップとしてとてもおもしろい作品です。 トリックテイキングが好きな方は、ぜひチャレンジしてみて欲しいですね。
トリックテイキングだけを遊ぶ会を、
いつかは開いてみたいなぁ…
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